人材紹介事業で開業・独立・起業する際に知っておくべき事

こんにちは!「人材紹介ビジネス・ラボ」編集部です。こちらの記事では、人材紹介会社様向けに、事業運営や集客マーケティングノウハウ等をお伝えして参りたいと思います。

今回は、人材紹介会社を独立・起業する際に知っておくべき事についてお話したいと思います。

人材紹介業の独立起業について

最近、人材紹介業で独立する人や会社が増えていますね。

求人・人材業界というのは、景気変動の影響を受けやすい業界でして、最近は2007年以来の好景気で、採用側の需要・ニーズが高まっている中で、儲かるからという理由で人材紹介事業の立ち上げを検討する個人や事業者が増えているようです。

人材紹介事業を開業する際に、準備しておくべき事

人材紹介事業で開業・独立する際に、事前に何を準備しておくべきでしょうか。

主には以下でしょうか。

  • 免許取得に必要な現預金500万円
  • 規定をクリアした広さや間取りのオフィス
  • 携帯電話やオフィスの固定電話
  • 会社ホームページ
  • 企業との業務委託契約書
  • 求人企業
  • 転職者との接点

設備投資などは必要ありませんので、シンプルに営業所と求人、転職者が揃えば、ビジネスは開始できるという事ですね。

ただ、初期に支払う必要はありませんが、厚生労働省の許認可免許を取得する際に、500万円の現預金が必要になりますので、そこが最もハードルが高いかもしれません。

事前に、銀行や公庫から融資を受けて調達したり、貯金をしておく必要がありますね。

人材紹介業の開業には資格・免許が必要?

人材紹介業の開業にあたり厚生労働省の許認可免許が必要になります。

許認可申請の条件としては、経営者の業務経歴、現預金資産として500万円と一定条件を満たしたオフィスで業務をしている事、職業紹介責任者講習を受験する事等が条件として設定されています。

毎月の締め切り日までに、東京労働局に必要書類を提出し、その後1ヶ月以内に、労働局局員のオフィスへの審査訪問をクリアし、職業紹介責任者講習を受験すると、晴れて人材紹介事業者として免許を取得できます。

初回は3年間で更新、その後は5年ごとに免許更新が必要になります。

人材紹介業のビジネスモデル・収益モデルって?

人材紹介ビジネスのビジネスモデルについて、どういった収益モデルかについて理解しておいたほうが良いかと思います。

こちらが人材紹介事業においての売上になるわけですが、求人企業に紹介した転職者の入社が決まった場合に、対象の転職者の想定年収の30~35%を企業から紹介フィーとしていただくモデルになっています。

コストとしては、人件費、広告費、オフィス家賃、業務システム利用料が主になるかと思います。

人件費はコンサルタント(RA・CA)や営業事務スタッフの人件費ですね。

1人あたり月25~35万円程度でしょうか。

オフィス家賃は、紹介免許の規定をクリアした21㎡以上のオフィスを都内で借りるとすると、大体16万〜30万円程度でしょうか。

オフィスを借りる初期費用・保証金としては、50~100万円程度でしょうか。

広告費は転職者集客にかかるスカウトDB費用等ですが、初期導入費で50~100万円かかる媒体と、成果報酬のみで売上の20%〜30%を請求するサイトもあります。

あとは、ポーターズやキャリアプラスなどの人材紹介業務に関わるデータや進捗の管理を行う業務システムがあるのですが、そちらの月額利用料ですね。

1アカウントあたり月1万〜2万円程になります。

合計すると、コンサルタントが1名だとすると、

  • 人件費30万
  • オフィス家賃20万円
  • システム利用料 1万5千円
  • 広告費用成果ベースで100万円の売上が出た場合、25万円程

毎月50〜60万円程のコストが定額でかかってきて、そこに決定・売上発生ベースで売上の20~30%程度の広告費支払いが発生する形になります。

仮に、120万円の決定が出た場合、30万円程の広告原価がかかります。

すると粗利は90万円程になりますので、そこから人件費とオフィスの固定費50~60万程を支払うわけですので、30万〜40万円程の月次の営業利益になるという感じですね。

となると、1名の社員・コンサルタントあたり、月に2名で、200万円以上の粗利を出し続けられないと、なかなかビジネスとしては厳しい数値であると言えると思います。

人材紹介業の独立起業って儲かるの?

上記で売上とコスト、利益構造について説明しましたが、実際人材紹介事業で開業して儲かるのでしょうか?

気になるところだと思います。

結論、コンサルタント1名あたりで毎月継続的に2名以上決定できるのであれば、儲かるといえますが、それを実現できないと儲からないと言えると思います。

月に2名×12ヶ月で年間24名程の決定が出せれば、2500万円程度の売上になります。

そこから広告原価600万円程を差し引いた1900万円が粗利になります。

オフィス家賃を年間250万円程と見積もると、1650万円程が残るわけです。

コンサルタント1名の会社であれば、年間1600万円程の報酬を得られるという事になります(ただここから法人税・個人の所得税や保険料の支払いが発生します)

もの凄い儲かるというわけではないかもしれませんが、ビジネスとしては成り立つレベルと言えるでしょう。

ただ、意外と毎月2名づつ決定を出していく事は簡単ではないのが現実ですので、毎月2名の決定を継続できそうか否かはシビアに見積もり、計画を立てておいた方が良いでしょう。

人材紹介業での起業で注意すべきポイントは?

人材紹介事業は支払いサイトが長い・・

人材紹介事業は、支払いサイトが長いです。

資金繰りが大変で、最初の売上の入金までに開業から半年程度は想定しておいた方が良いでしょう。

人材紹介事業の売上は、紹介者が入社した際に、想定年収の30~35%を企業から成果報酬でいただくモデルになります。

転職者と面談を開始してから、実際に紹介して選考が1ヶ月、転職者が現職退職交渉して引き継ぎを行い、転職先に入社するのが、2ヶ月〜3ヶ月後、入社月の翌月末に初めて売上の入金があります。

という事は、順調に紹介業務が進んだとしても、転職者と初回に面談をしたタイミングから、少なくとも4ヶ月間程度、売上の入金までバッファが発生をするという事です。

実際は、転職者と複数面談をしたところで、スムーズに紹介は進まない事の方が多いのが現実です。

例えば、転職者に求人案件を紹介しても断られてしまったり、応募エントリー意思をもらっても面接が通過しなかったり、内定に至っても意思決定してもらえなかったり、といった事が起こります。

そう考えますと、スタート時点では、半年間は売上の入金が発生しないと考えておいた方が安全でしょう。

人材紹介事業は7割転職者、3割求人企業に時間を使うべき

人材紹介業での起業で注意すべきポイントとして、初期に企業に対して積極的に営業を行い、求人を大量に集めてしまうという事があります。

人材紹介業を開業する際に、初期は、むしろ求人企業との取引を絞り込み、限られた求人をしっかりと紹介・充足させていく事に集中された方がうまく行くのです。

感覚として時間の使い方としては、7割の時間やエネルギーを転職者に、3割の時間やエネルギーを求人企業に使うくらいの感覚が良いかと思います。

なぜならば、人材紹介事業のビジネスモデルは、あくまで転職者が求人企業に入社した時のみに、成果報酬が発生するためです。

転職者は1人であれば、いくら求人企業数を大量に保持していたとしても、最大で1人しか決定する事はあり得ません。

また、内定が出る市場価値が一定以上の転職者は限られており、そういった転職者は複数から内定を得られ、企業を選べる側になる事が多いのです。

そのような転職者と接点を作ったり、彼ら彼女らから信頼される事を重視された方が、結果として成果は出ます。

その昔、著者が大手人材紹介会社のリクルーティングアドバイザー(法人営業)をしていた際に求人企業の社長から「年間の採用予算1000万円全てを君に預けるから宜しく!」と期待を込めたお言葉を頂戴しとても嬉しい気持ちになったのですが、同時に人材紹介事業は成果報酬で転職者がその求人企業に入社してナンボという商売ですので、「社長それは困ります、貴社や社長が採用したいターゲットを具体化・言語化し、実際にそのターゲットが入社したいと思えるような訴求メッセージを考え、きちんとそれを伝える選考プロセスを設計しない限り、1人も入社に至る事はないし、そうなればその1000万円の予算も1円もいただく事ができないサービス課金体系なのです」と泣く泣くお伝えした思い出があります。

ですので、言葉は悪いですが、人材紹介会社にとっての求人企業への営業活動=コスト・工数であり、転職者とコンタクトをとらずに、闇雲に求人企業へ営業活動を繰り返す事は、経費や時間の浪費でしかないのです。

人材紹介事業は有名企業の求人を集めても決まらない・・

この文脈で、よくある例として、有名企業の人事とコネクションがあり、有名企業の求人を扱えるから、人材紹介事業がうまくいく!といった事を仰る方がいらっしゃいます。

しかし、これもうまくいかないケースが多いです。

有名企業は、全てではないですが、優秀な人材を新卒で大量に採用しているケースが多く、概して採用目線が非常に高いのです。

そういった会社へお眼鏡にかなう人材を紹介する事は非常に難易度が高く、人材紹介のビジネスとしては実は難しい取引先になってしまうのです。

また成果報酬ですから、大手有名企業でも、リスクが少ないために、割と個人中小規模の人材紹介会社とも取引を開く事は珍しくありません。

前課金であれば、そうした大手有名企業との取引を開始するハードルは非常に高いのだと思いますが、成果報酬であり、紹介する人材の評価や質次第で、採用や発注を決められる人材紹介というチャネルは、大手企業人事担当者からしても、心理的ハードルは低く、そうした有名企業と取引できる事は決してレアな事でも優位な事ではないのです。

むしろあえて独立したての人材会社に依頼・相談してくるという事は、やはり採用難易度が高く、他の人材会社へ依頼してもなかなか採用できていない、といった課題や背景があるためといった事も多いです。

人材紹介事業は転職者を集客する方が難しい

これまでも求人企業への営業開拓に時間を割くよりも、転職者とのコンタクトやフォローに比重を置いてサポートとした方が良いとお伝えしてきましたが、売り手市場の昨今、転職者を集客することが年々難しくなってきているのが実態です。

多くの人材紹介会社は、転職者を知人・友人経由だけで集めるのには限界があり、外部の集客チャネルから転職者集客を行っています。

その中でも、大手転職サイトのスカウトDBのシステムを活用しているケースがほとんどです。

「リクナビNEXT」や「エンのミドル」、「ビズリーチ」、「マイナビエージェントサーチ」等です。

ただ、こうした転職サイトのスカウトDB上もカナリ競争が激化してきており、スカウトメールの返信率が年々下がっているのが実情です。

中には、返信率が0.4%を下回っているというサイトもあり、労力に対して見合わないケースが多いです。

いかに一定市場価値のある転職者と継続的にコンタクトをとっていけるかが人材紹介事業の成否に関わっていると言っても過言ではありません。

人材紹介業の開業・独立企業についてのまとめ

いかがでしたでしょうか。

人材紹介事業は、設備投資や在庫が存在しないために、気軽に開業できる反面、きちんと事業で一定以上の成果を出せるだけの勝てる戦略がなければ、収益をあげる事は意外と難しいです。

新規参入の人材紹介会社も増えている中で、競合と差別化して、勝てる理由づくりをしっかりと考えている事が重要と言えると思います。

弊社も人材紹介事業を行っておりますが、スカウトメールを利用しておりません。自社集客で月間150名ほどのお問い合わせがあり、そのノウハウや実績を活用し、転職エージェント様向けのメディア、Callingoodを運営しております。

他社との差別化やブランディングなどのご提案をし、スカウトメールに依存しない集客方法が結果、転職者様に対して質の高い面談やキャリア形成ができる環境作りを成果報酬型でサポートしております。

ご興味があるエージェント様はこちらからお問い合わせ頂けますと幸いです。

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コーリングッド編集部

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